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最高裁判所第一小法廷 昭和29年(オ)822号 判決 1954年12月16日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

論旨第一点は、事実上の判断を争うものであつて、上告適法の理由に当らない。同第二点は、理由そご乃至理由不備を、同第三点は、法令違反をいうが、原審判示の事実関係の下においては、本件は、人身保護規則四条にいう、拘束の権限なしになされていることが顕著である場合に当らないと認めるのが相当であつて、原判決には所論の違法はなく、論旨は採用できない(昭和二八年(ク)五五号同二九年四月二六日大法廷決定参照)。同第四点は、違憲をいうが、所論は結局、被上告人が本件子供を権限なくして拘束していることが顕著であるとの上告人の主張を排斥した原審の判断を不当とし、これを前提として原判決を攻撃するのである。しかし、右前提の失当であることは上記論旨第二点及び第三点に対し説示したところのとおりであるから、論旨違憲の主張は前提を欠き採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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